インフラエンジニアと一口にいっても、ネットワークエンジニア、サーバエンジニア、クラウドエンジニアなどの種類があります。
さらに業務レイヤとして運用保守フェーズ、設計構築フェーズで大きく業務内容が異なります。
このページでは運用保守フェーズのエンジニアがどうしたら未経験の設計構築フェーズのエンジニアに移行できるのかを解説していきます。
まず結論を言いますと社内移動活動もしくは転職活動を行いながら同時並行で技術力を高めるのが最短です。
私自身、監視オペレータから設計構築エンジニアになりましたが何も考えずに毎日の業務をひたすら頑張っても絶対に設計構築の仕事は自然には舞い込んできません。
自分からアクションして働く場所をどんどん変えていかない限り業務レイヤーは上流工程には絶対にならないです。
具体的にどんなことをしていけば良いのかを解説していきます。
社内移動活動、転職活動を行う
いきなり社内移動活動、転職活動を行うのかという疑問を持つ方もいるかと思います。
なぜ、社内活動、転職活動について最初に書くのかについて説明いたします。
技術力の向上を図ってから社内移動活動、転職活動を行うという流れだといつまでも設計構築ができる技術力がつかない可能性が高いです。
そこまで情報収集をしながら技術力の向上を図り少しでも業務フェーズを上げられるならさっさと転職してから技術力を高めた方が効率が良いです。
少しずつ上流フェーズに近いポジションに移る
将来的に設計、構築フェーズの業務につきたいと考えているとしてまずはあなたが現在行っている業務はどのような内容でしょうか。
運用保守フェーズ業務と一口に言っても責任の重さや難易度はかなり異なると思います。
例えば今は監視オペレータをしているのであれば、一度に設計構築業務に移るのはなかなか難しいです。
まずは一旦、運用でも設定変更作業が頻繁にある業務フェーズや機器の初期設定や交換作業などがある保守フェーズのポジションに移りましょう。
設計、構築エンジニアになっても重宝する技術なのでスクリプトとかシェルを作成する仕事でもよいです。
とりあえず短期間で少しでも難しい仕事に業務レイヤーを移動していく事が大事です。
理想は運用設計ができる仕事ができれば良いですが運用業務は大ベテランがいる場合が多いのでかなりの運用経験が無いと任されることは少ないでしょう。
また、メンバーからリーダーにポジションが移れるチャンスがあればリーダー経験を積めば転職しやすくなりのでリーダー経験を積みましょう。
職場の仲間ととても仲良くなって居心地が良くても単純な業務内容を長期間続けてしまうと成長が止まってしまいます。
成長できない環境の場合は同じ職場に長期間留まるのはNGです。
個人の経験からしてもやる気のない人が多い職場に長期間いると頑張らないのが当たり前に感じてしまいます。
社内異動を願い出る
現在所属している会社に特段不満が無く、設計構築を行っている部署や現場が別にあるのであればダメ元で社内異動を願い出ましょう。
設計構築部署があるのか分からない場合も現状把握のために上司や営業担当に尋ねてみましょう。
上司に自分の意思を伝えたことがあまりない人には勇気がいることですが頑張りましょう。
あなたの会社がどのような企業体質なのか見極めるためにも自身のキャリアビジョンを上司に伝えるのはとても大事です。
まともな会社であれば例え希望を叶えらなくても上流工程をやりたいという意欲がある社員はやる気があると評価されるはずです。
上司がまともに相談に乗ってくれず、そんな仕事はないと言われたり、全く無視されるようであれば、そのような企業に未来はありません。
前向きな検討がなさらない企業であれば転職を検討しましょう。
異動できず転職もせずは何も解決しない
但し、異動願いが受け入れられず会社に不満に持つだけで仕事のやる気をなくすのは本末転倒です。
転職活動もしないでふてくされるだけで、何も動かないのはやめましょう。
異動願いが受け入れられるのかは自分が今所属している会社がどんな会社なのか知るためのきっかけになります。
会社に不満を持って転職活動に踏み切る動機付けをすることも大事です。
転職面接の際に設計構築レイヤーに移りたいという退職理由を掲げた場合、希望を叶えるために現職で何か活動しなかったのかと聞かれる事もあります。
実際に異動希望を出していれば、仮に無駄に終わっても自信を持って異動する努力はしたと説明する事が出来ます。
転職エージェントに登録
キャリアを上流に近づける一番の近道は結局のところ、転職になります。
キャリアも技術力もない状態では、設計構築への転職は簡単ではありませんがいくら独学で技術力をつけても面接対策をしないと転職する事はできません。
まずは情報収集のためにも転職エージェントに登録して、どんな企業があってどんな業務内容があるのか今後やっていきたい仕事は何かを考えましょう。
それから技術勉強をすると漠然とやるよりも目標を持って学習することができるので、成果が出やすいです。
転職エージェントの利用はほとんどが無料ですのでまずは登録してみて情報収集してみましょう。
転職情報の収集
転職エージェントで転職情報を仕入れるのが基本ですが他にも口コミ情報を仕入れる方法などがあります。
口コミパスを購入するか自分の現在や過去の在籍企業についての口コミを書き込む事で他の人の口コミが見れます。
実際に在籍している人の口コミが書いてあるのである程度、信用がおけるものとなります。
但し、自分の能力不足が原因であっても在籍企業のせいにして不満を持つ人も世の中には一定数います。
あくまで口コミサイトに書いてあることは企業の一面を映していると考えるのがよいでしょう。
同じ企業でも色んな人がいますので、例えばこの会社はマネージメント管理がまったくされないという不満が書いてあったとします。
しかし、実際にはその上司個人の能力に問題がある場合もあります。
書き込んだ人が自分からコミュニケーションを取る努力を怠って上司の悪口を書いているだけという可能性もあります。
口コミはあくまで参考情報と捉えましょう。
面接対策、転職理由・志望動機・自己PRを考える
転職活動では過去の実務キャリアや技術力が重要視されますがどんなに優秀な能力を持っていても相手にそれが伝わらないと全く面接官からは評価されません。
働きぶりを見てもらえばわかる優秀人材だとしても転職面接では実際の働きぶりは全く見えません。
応募者が自ら面接で良いキャリアを持っている優秀な人材なんだと強くアピールしなくてはなりません。
設計、構築エンジニアになるための一貫として面接対策をしっかり行うことはとても大事です。
これは転職しなくても現場面接での採用時にも有効ですので同じ会社内での異動の際にも使えます。
転職理由・志望動機・自己PRの詳細については別ページにまとめてあります。→こちら
技術力を高める
運用保守から設計構築業務につくには最終的には現場移動か転職活動が必要になりますが同時に技術力を高める事が面接対策にもなります。
エンジニア相手の面接であれば趣味でも実際に構築を経験した話を具体化できたほうがアピールポイントになります。
設計構築業務について知る
まずは設計構築業務とは具体的にどんな事をするのかを解説します。
実際にやってみないと身に着くものにはなりませんがまずが概要から勉強しましょう。
要件定義
顧客側の実現したい機能要望を聞き出して文書化します。
導入製品が決まっている場合は実現可能な要望かどうかも検証や見極めを行って定義を行います。
顧客側で情報の整理をしてもらう必要があるため要望をしっかりと洗い出すことが必要です。
また、文書で定義できるようにうまくコミュニケーションをとる必要がありますので一方的な技術力だけ合ってもうまくいきません。
アウトプット資料は要件定義書となりますがかっきりとWordで文書化する場合、Excelなどで項目化して整理する場合などがあります。
基本設計
要件にそってどのような機能を実装するかどのようにシステムを構築してくかの基本方針を文書化します。
細かいパラメーターは詳細設計で定義しますので、あくまで基本的な方針を設計してデータ化する事になります。
要件定義時に顧客側の要望がきっちり整理できていない場合もあります。
基本設計の内容を顧客と調整して詰める必要がありますので、コミュニケーション能力が重要となります。
アウトプットは基本設計書でWordファイルでの記載が一般的です。
詳細設計
大型案件の場合は基本設計書と同様にWord文書に細かい詳細設計を纏める案件もまれにあります。
中小規模案件の場合はWord文書は作成しません。
案件規模に限らず機器に設定する具体的な設定値をパラメータシートに記載します。
パラメータシートはExcelの場合が多いですがフォーマットは製品ごとに違います。
メーカーでは規定のフォーマットは作成してない場合が多いので設計ベンダー側で記載する必要があります。
詳細設計段階になると後で試験は行いますが試験時に機能不足で使えないと分かっても遅いです。
大まかな機能はこの段階で使用できるか検証を事前に行います。
新規機能や未実績の機能については実際に検証環境に値を設定して上手く動作するか試します。
環境構築
検証環境の構築を行います。構築エンジニアの技術力アップにはかなり重要な仕事です。
本番環境とは別に構築が必要ですが顧客側で本番と開発の2環境用意するもしくは自社環境に検証環境を作成します。
ネットワーク周りの穴あけやクライアント端末の準備なども必要です。
導入製品に関係するサーバの準備も必要です。
例えばADサーバ、DNSサーバ、NTPサーバ、Webサーバなども準備します。
事前検証
この段階では本格的な試験を行う前に事前検証を行います。
試験仕様書に基づいた正式な試験となりますと失敗した場合は試験結果NGとなり原因や見解などを調査報告しなくていけません。
酷い場合は次の試験項目が実施できなくなり、試験進捗が進まなくなる場合もあります。
また、通信環境やDNSやロードバランサーなどを整備しておかないと想定通りの動作にならない場合もありますので環境を事前に整備確認します。
新機能の場合、初回検証は大抵簡単にはうまいくいきません。
検証を通じてトライ&エラーを繰り返す事で製品の機能や動きに詳しくなり、構築エンジニアとしての技術力を大幅に高める事が出来ます。
単体試験、結合試験、システム総合試験
単体試験は製品が単体で動作する機能や状態確認テストを行います。
結合試験は関連する機器との連携動作をテストする試験となります。
システム総合試験はインフラだけではなく実際に利用するシステムが設計構築したインフラを使って上手く動作するかどうかのテストとなります。
アウトプット資料、納品物は試験仕様書とそれに試験結果を追記した結果報告書、試験時に画面キャプチャとログ取得したエビデンスになります。
本番リリース作業
設計構築した製品を本番環境で実際にリリースする作業になります。
データセンターやサーバ室のあるオフィスビルなどの顧客現地で実施されます。
タイムチャートや現地作業手順書と実績が納品物となります。
操作手順書作成
製品の納品にあたり、顧客の運用担当者が利用するための操作手順書を記載します。
複雑な機能説明を書くというよりは画面操作や入力コマンドの手順を具体的に記載します。
キャプチャ画面や写真等を使って分かりやすく記載する事が求められます。
プライベートで構築してみる
設計構築の仕事がしたくても中々、関連する仕事は回ってきません。
趣味の延長で自宅でサーバやネットワーク構築をする事で技術力の向上を図りましょう。
サーバ構築
サーバ構築は以前と比べて個人がプライベートで格段にやりやすくなりました。
AWSやAzureなどのクラウドサービスを使ってサーバを建ててみるのも良いです。
自分のパソコンに仮想化環境をVmwareやHyper-Vで建ててサーバ構築も可能です。
手順もネット上にたくさん溢れています。
ネットワーク構築
ネットワーク機器の学習についてはヤフオクやメルカリなどで実機購入をして自宅ラボを作る事で学習が一番です。
機器の接続時の表示、コンソール接続、シリアル接続の方法や電源投入や電源OFFのやり方など実機を触ったことが無い人では覚えられない事は山ほどあります。
但し、ネットワーク環境を実機で構築するとなるとL3スイッチやルータを含めてL2スイッチも数台ないとダメです。
場所も取りますし価格も結構かかりますのでその場合はエミュレーターでの学習も有効です。
Cisco機器に限定した学習ならCisco Packet TraceでCisco純正機器が無料で利用可能です。
またはGNS3でしたらJuniper製品の構築も可能が実機のOSファイルが必要になります。
資格を取る
インフラエンジニアが客観的に能力を示すには資格の取得はある程度有効です。
但し、設計構築の実務経験のない人が資格を持っていれば無条件に設計構築に転職できるわけではないので注意しましょう。
なぜなら資格はペーパーの勉強が中心ですし実技問題も試験範囲の内容だけ覚えてしまえば取れてしまいます。
面接官は本当に設計構築の仕事をできる資質があるのか疑問に思って質問をしてきます。
運用保守の実務でどういう考えを持って仕事に取り組んできたのかを問われることになります。
しかし、うまくアピールできれば資格はとても有効ですのでとっておいて損はありません。
各資格については以下のページにまとめてあります。
↓ネットワーク資格資格
ネットワークエンジニアに転職したい人におすすめ!ネットワーク資格比較
↓LPICとLINUC資格
サーバエンジニアに転職したい人は取るべき!LinuxOS資格、LPICとLinuCを徹底比較
↓AWS資格
クラウドエンジニアへの転職なら、AWS資格
本での学習
学びたい分野の技術があれば時には書籍を購入しての学習も有効です。注意点は古い書籍だと使われなくなっている技術が掲載されている場合もあります。
また図解が多くて分かりやすい本がお勧めですので書籍選びはできるだけ本屋で実物を見てからの方がおすすめです。
Kindleで見る場合はインフラエンジニアの技術本は図が小さくなると分かりずらいのでiPadなどの画面が大きいタブレットで見るのがおすすめです。
講座を受講する
技術力をアップするためにUdemyなどの講座を受講して学習する方法もあります。
Webサイトや書籍を見てもやり方が良く理解できない場合には動画での学習が有効です。
知識学習だけに終わらない手を動かして構築ができる実践的な講座がおすすめです。
いくつかおすすめの講座を紹介します。
費用も結構かかりますので購入前に内容や評価をしっかり確認してから購入を検討しましょう。
●ネットワーク構築
PakectTrackerを用いてCisco機器に実際にネットワーク設定を行う方法が動画付きで学習できます。
ネットワーク構築を行うのに必要な基礎知識が体系的に学習できます。
●サーバ構築
はじめてのLinuxサーバー構築運用入門 – Linuxコマンドラインを基礎から学び、自分のウェブサーバまで構築できる
仮想マシンのVirtual BoxにCentsOSというLinuxサーバーを建てて、LAMP環境を構築する手順が動画付きで学習できます。
さくらVPSを使って独自ドメインのブログを建てて、保守運用をするところまで、構築からの一連の流れが学習できます。
LAMP環境とは「Linux」OSにWebサーバの「Apache」を構築して、データベースとして「MySQL」プログラミング言語の「PHP」を使ってWebサーバへのデータ要求をする環境の構築です。
実際のシステムではOSやデータベースでも種類がありますが未経験の人が基本的な構築の流れを学習するのに実践的でとてもよい学習となります。
●クラウド構築
AWS:ゼロから実践するAmazon Web Services。手を動かしながらインフラの基礎を習得
Amazon Webサービスのクラウド上でネットワーク設定、Webサーバの構築、ドメイン取得、DBサーバの構築、ELBによるネットワーク冗長化、DBの冗長化などを実践的に学べます。